中小企業の労務管理|設立直後から人数規模別のポイント

中小企業の労務管理は、
会社の成長とともに必要な対応が少しずつ変わっていきます。

 

設立直後は手続きが中心ですが、
従業員が増えるにつれて

  • 社内ルール整備
  • 社員定着に向けた取り組み
  • トラブル予防
  • 属人化の解消

といった課題が増えていきます。

 

このページでは、会社規模ごとに
労務管理上課題となるポイントを整理しています。
 


会社設立直後の労務管理
 

会社設立直後は、まず基礎となる手続きや体制を整える段階です。

 

  • 労働保険・社会保険の新規加入手続き
  • 給与計算の体制づくり

 

労働保険とは、労災保険と雇用保険のこと。
社会保険とは、健康保険と厚生年金保険のこと。
それぞれの制度の加入要件に従い、
手続きを進めていくことになります。

 

労働保険や社会保険に加入するには、
労働基準監督署・ハローワーク・年金事務所で
様々な手続きを行う必要があります。

▶労働保険や社会保険の加入要件
(どういうときに加入しなければならないかを説明します)

 

そして、同時に給与計算の体制づくりも進めていきます。

  • 給与明細書や賃金台帳を誰がどうやって作るか
  • 給与計算の締切日と支払日をどうするか
  • 基本給だけなのか、各種手当を設けるのか

など、基本的な仕組みづくりを行います。

 

給与明細書や賃金台帳の作成は、
Excel管理、給与ソフト導入、クラウド契約など
様々な方法があります。
実際に作業する人も、
社長自らがやるか、社労士や税理士に任せるかを決めます。

 

給与の締め・支払いも重要なポイントです。
「前の会社がこうだったから」ということで安易に決めず、
今後自社が困らない形で設定する必要があります。

 

社長や取締役以外に、最初から従業員を雇用するなら、
各種手当を設けるのか、
設けるならどのような意図や仕組みにするのか
なども決める必要があります。

 

会社設立の段階でこうした土台を整えておくと、
後々の負担が大きく変わります。


初めて従業員を雇うときのポイント
 

初めて従業員を雇うときは、労務管理のスタート地点です。
会社設立当初から1人目を採用するなら、
早速考えていかなければなければなりません。

 

  • 労働条件を明確にする
  • 労働条件通知書や雇用契約書を作成する
  • 労働時間体系や残業計算の考え方を決める
  • 労働時間の記録方法を決める
  • 従業員の社会保険や雇用保険加入手続きを行う

 

これらは最低限のところとなります。

 

これに加えてお勧めなのは、
この最初の時点で、社内ルールを整備してしまうことです。
具体的には、就業規則を作るということです。

「最初の1人」の段階で整えておくのが、
後々の労務管理体制の構築が楽になります。

▶従業員10人未満でも就業規則を作るべき決定的理由
(少人数のときに作成するメリットを解説しています)

 


従業員5人未満規模の労務管理
 

従業員5人未満のような少人数の会社では、
十分社長の目が行き届く範囲なので、
ある意味、問題なく労務管理を回せる規模かもしれません。


ルールのような明確なものが無くても、
社長の一声で運用できてしまいます。
法律上、就業規則の作成義務も無いため
無理にルールを作ろうとしないのもこの規模です。

 

この時点でしっかり固めておきたいことは、
「労働時間管理をどのようにスムーズに進めるか」
ということです。

 

労働時間管理とは、

  • タイムカードを導入するのか
  • 勤怠管理システムを契約して運用するのか
  • Excelのタイムシートで管理するのか

という「ハード面の管理」と、

  • 労働日数や残業時間の集計をいかに効率化するか
  • ムダな残業時間を減らす仕組みをどう整えるか

という「ソフト面の管理」の両方を指します。

 

これを曖昧にしたまま進めると
その先人数が増えてきたときに苦労することになります。

 

人数が少ないうちのほうが、仕組みの導入もラクですし
この時期に根付かせた労働時間管理の流れや考え方は、
その後に人数が増える段階でもスムーズに浸透していきます。

 

あとは、「最初に1人」のときにできなかった会社は、
社長の一声が通りやすい今のうちに、
就業規則の作成を進めることをお勧めします。

 


従業員10人未満の労務管理
 

従業員数が5人を超えて10人近くなってくると、
労務管理を「社内でなとなく回す」だけでは難しくなります。

 

最初のうちは、これまでの付き合いの延長や縁故から、
「人間性をある程度知っている人」
を雇用するケースも多いので、まだ良いかもしれません。

 

しかし、10人が視野に入ってくる規模では、
だんだんと「他人」、
つまり「どんな考えを持っているか分からない人」
を雇用するケースがかなり増えてきます。

 

そうなると、少なくとも会社がいろいろな判断や、
時には厳しめの指導をするにあたって、
その根拠となるルールが無いと難しい環境になります。

 

それから、この辺りの規模から、
感覚的には「労働基準監督署の調査」対象になりやすい
ところに入ってくる傾向があります。

 

「10人いないから就業規則の作成義務のないのに、労基署調査なんてあるの?」
「労基署調査って、従業員からのタレコミがなくても、小さな規模の会社で入られることがあるの?」

と思うかもしれませんが、普通にあります。

▶労働基準監督署の調査・是正勧告対応
(労基署調査で聞かれることや対応方法を詳しく説明します)

 

このように、そろそろ10人が見えてきた会社は、

  • 人となりが分からない従業員の労務管理
  • 労働基準監督署の調査を意識した労務管理

をしっかり進めていくことをお勧めしたい規模となります。
 


従業員10人~20人程度の労務管理
 

従業員10人以上となり必須となるのは、
やはり就業規則の作成です。
それまでに作成してこなかった会社は、
早急に対応する必要があります。

▶就業規則・社内規程について
(就業規則作成のポイントを整理しています)

 

また、これは10人未満のときもそうなのですが、
有給休暇の残日数管理や、
定期健康診断の実施や記録の保管なども
それまでできていなかったことがあれば
速やかに対応する必要があります。

 

そしてこの規模になると、
労務管理の属人化リスクが出てくる規模となります。
 

  • 担当者が辞めると業務が止まる
  • 人数が増えてきて、手続き漏れが起きやすい
     

給与計算は毎月のことなので、待ったはありません。
社会保険や労働保険の手続きも、
スムーズに進まないと従業員の不満の温床となります。

そうなると、社労士などの外部の専門家に業務を委託することは
一定の意味が出てきます。
このような事態になることを早くから察知して、
10人未満のうちから社労士と顧問契約を結ぶ会社も多いです。

 

必ず社労士を利用しましょうということではありません。
労務管理の属人化のリスクは、
突如顕在化することがある
ので、
外部を頼る方法を持ち合わせておきましょうという意味です。

 


従業員20人~50人未満の労務管理
 

従業員数が20人を超えると、
労務管理は「体制」として整える段階に入ります。

 

人数が増えると、いろいろなことが起こります。

  • 社員の入退社の頻度が増える
  • 社員から色々な質問が来る
  • 問題社員が出てきて、社員からも不満が出る
  • パワハラなどのハラスメント問題が生じる
  • 育児休業や介護休業などを取る人が格段に増える
  • 今までやったことの無い手続きに直面する
  • 何かやるにも、従業員数が多すぎて手が回らない
  • 給与計算も1日では終わらない量になる

 

当然、これらのことに、
社長や人事労務担当者1人では対応しきれません。
この規模では、顧問社労士と継続的に付き合う会社が多くなるのもそのためです。

 

後回しになってしまった就業規則の見直しなども
課題として出てくるのがこの規模です。

 

社内に総務部長や人事部長がいたとしても、
そのブレーンとして社労士をそばに確保することが
一般的となっています。

▶社労士顧問契約とは何か
(社労士と顧問契約を結ぶメリットを説明します)
 


従業員50人以上の労務管理
 

従業員数が50人を超えると、
労務管理は経営課題としての重要性が高まります。

 

  • 労使トラブルの予防と初動対応
  • 管理職の役割の明確化
  • 従業員の評価体制の確立
  • 安全衛生管理体制の整備

 

この規模になると、
普段、会社のどこで何が起きているのか賀
かなり見えづらくなります。

 

従って情報が入ってくるのも遅くなり、
その間にトラブルや不満の芽が育ってしまいます。
後手後手の対応になりやすのがネックです。

 

会社として「労務管理を仕組みで回す」ことが求められます。

 


中小企業の労務管理は「早めの整備」が負担を減らす
 

労務管理は、問題が起きてから整えるよりも
日常のうちに体制として整えておくほうが負担が少なく済みます。

 

問題が起きづらい時期、
体制を整えやすい時期というのは、
やはり「従業員数が少ない時期」となります。

 

最初からすべてを外部に任せる必要はありませんが、
必要な部分だけでも社労士などの外部専門家と一緒に整理し、
少なくともその専門家の視点に触れておくで

社内の負担とリスクは大きく下がります。

 

社労士がどういう関わり方をする存在なのかについては
以下で詳しく説明しています。

▶社労士に相談できること

 

 

  • ウチは今この規模だが、どうするべきか
  • 今の段階でウチの会社の課題は何か
  • 社労士に依頼するとしたら、どのくらい費用がかかるか
  • 依頼するとしたら、どの部分を任せたらよいか


のような段階で、お問い合わせ頂いて問題ありません。
初回のお問い合わせ時点では、
依頼するかしないか決める必要はありません。
もちろん、その後依頼しないなら
費用もかかりません。
執拗な勧誘や契約の強要は一切しませんのでご安心ください。

 

規模の小さいうちからの労務管理の大切さに興味を持った方は、
すでに他より一歩前に出ています。
その大切な一歩を次につなげるためにも、
一度、自社の状況を相談してみてはいかがでしょうか。

 

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