これから会社を作る方へ伝えたい
5つのメッセージ

有休は100%取られるものと思っておく

最初に断っておきますが、年次有給休暇は100%消化させなければならないわけではありません。年間5日の消化義務がある部分を除けば、それ以外は本人が希望する場合のみ取得させれば、法律上は問題ありません。

ではなぜ、「100%取られるものと思っておく」という書き方をしているのかと言えば、有休取得という従業員の権利行使を、「嫌な感覚」で捉えないようにするためです。年次有給休暇という制度の存在を知らない経営者はほぼいらっしゃらないと思いますが、法律上の正確な最低付与日数や、パート・アルバイトにも有給休暇の権利が発生することなどをきちんと理解されている経営者となると、ぐっと少なくなってくるでしょう。

有休は、6ヶ月経過で10日、1年6ヶ月経過で11日、2年6ヶ月経過で12日、3年6ヶ月経過で14日、4年6ヶ月経過で16日、5年6ヶ月経過で18日、6年6ヶ月経過後は毎年20日、という具合で権利が発生していきます。これは週5日以上または週30時間以上働く労働者の日数であり、週4日以下&週30時間未満の労働者は、その日数に応じて比例的な少なめの付与日数での有休が権利として発生します。

年次有給休暇の制度はザックリとこんな感じなのですが、正社員で言えばそれなりの年数働くと毎年20日の有休が付与されるということです。これは、毎月1日ずつ取得しても、追いつかない日数です。2ヶ月に3日以上のペースで取得できてしまう日数なので、100%に近い消化率となっている従業員に対しては、もしかしたら「あいつは休んでばかりだ」という感覚に陥ってしまうかもしれません。でも、その従業員は当然の権利を行使しているに過ぎません。「その権利行使を多少でも遠慮するのが常識なんじゃないのか?」と思うかもしれませんが、そんなことは現実的には言えないのです。

月給制の正社員なら、有休取得があってもそのまま月給を払えば済みますから、まだ良いほうかもしれません。これが、時給制のパート・アルバイトだとどうでしょうか?有休で勤務しなかった日については、仕事をしないのにその日の時間分の時給を払う必要があります。厳密には他の方法もありますが、仕事をしていないのに給与が発生するということ自体は変わりありません。その現実を目の当たりにしたときに、想定していなかった経営者は「ちょっと納得いかないな」となってしまうのです。

だから、あえて「100%取られるものと思っておく」と書かせて頂きました。最初から、「うちの会社は有休100%消化」と決めておけば、それに基づいた人員配置・人件費管理ができます。しかも、小規模零細企業が極度の求人難の時代に、「当社は有休が100%消化できる会社です!」と謳えるのは、若い世代に響くメッセージになるかもしれません。

創業初期はそんなに人員配置に余裕が無いことは百も承知しています。仕事が忙しくなれば、有休消化などと言っていられない状況になることもあるでしょう。でも有給休暇のことは、ぜひ対策を練っておいていただきたいと思っています。

一度に10日以上の有休を付与された従業員については、その付与から1年以内に必ず5日以上は実際に消化させなければならないという法律が存在します。ですからこれは絶対です。取っていない従業員がいたとしたら、「会社から声掛けをして取らせなければならない」のです。パート・アルバイトの有休のことを会社から伝えていなかったとしても、パート・アルバイトから「有休を取得したい」と言われたら取らせてあげなくてはならないのです。今の時代は、黙っていてもパート・アルバイト側から有休の話が出ることが非常に多くなっています。

有休消化を進めるには、昔からある「計画的付与」という方法を用いるのはお勧めです。「計画休暇」という言われ方をすることもありますが、あらかじめ有休消化日を決めてしまうという方法です。夏季休暇や年末年始休暇にこの制度を使う会社も多いのですが、創業間もない会社がこれを有効活用しているケースは、かなり少ないでしょう。
実際にこの制度を利用するには労使協定が必要ですから、これをしっかりと作っておかなければなりません。夏季休暇や年末年始休暇をあとから計画休暇と位置付けるのは問題が生じるおそれがあるので、最初がチャンスだと思います。


「100%取られるものと思っておく」というのは、感覚的な話であり、ちょっと極端なのかもしれません。しかしながら、それに近い気持ちで有休に対する対策を真剣に考えておくというのは、これから人員を増やして頑張っていこうという会社には、ぜひとも取り組んで頂きたいという思いでこのメッセージを書かせて頂きました。

前述の計画的付与制度の活用方法や労使協定の作成などをお手伝いするのは、我々社会保険労務士の得意分野でもあります。その他、年次有給休暇の詳細についても、真剣に取り組んでいきたいという会社をぜひ応援したいので、いつでもお気軽にご相談ください。

 

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