雇用契約書(労働条件通知書)の作成義務

労働者を雇用したら、法律上、雇用契約書(労働契約書)というのは作成しなければならないものなのでしょうか?

結論から申しますと、「労働条件通知書は作成義務はあるけど、雇用契約書(労働契約書の作成は義務ではない」ということになります。

労働基準法では、「使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他労働条件を明示しなければならない」と定められており、その明示の方法は、原則として「書面の交付」ということになっています。労働者が希望した場合は、メール送信やLINE等のSNSでの送信も可となっていますが、出力して書面を作成できるものに限られます。

つまり、労働条件を記したものを書面で交付またはメール等で送信すれば良いのであって、「雇用契約書」という、双方で契約行為(押印や署名捺印をするなど)をすることまでは求められていないのです。言ってみれば、会社から労働者への一方通行の明示で良いということです。その意味で、雇用契約書(労働契約書)の作成は「義務ではない」ということになります。厚生労働省が作成しているひな形も、タイトルは「労働条件通知書」であって、「雇用契約書」でないのはそのためです。

では、どうして雇用契約書というものが存在するのでしょうか?

それはおそらく、会社と労働者とで押印をするという形をとれば、双方で内容について合意したということを書面で残せるから、ということになるでしょう。労働条件通知書のような一方通行のものだと、あとで「受け取っていない」などと言われてしまうおそれもあります。回避方法はいくらでもありますが、労働者の押印(または署名捺印)があるというのは、安心感という点では優位かもしれません。

主観ですが、多少面倒であっても、雇用契約書として双方で押印等したものを2部作成し、1部ずつ保管するというのが良いのではと考えます。労働条件通知書として労働者の押印等をもらわないという場合でも、少なくとも作成した労働条件通知書のコピーをとるか、あるいはそれを労働者に渡すと同時に同じものをメール等でも送信するなどして、「渡した記録を残す」ことは必要だと思います。

なお、雇用契約書とする場合の「押印」ですが、必ずしも「印鑑」が必要だと思わなくて良いでしょう。署名でも十分意思表示の記録は残りますし、心配なら昔ながらの「拇印」でも良いです。「労働者が印鑑を持っていない(言ってもなかなか持ってきてくれない)から雇用契約書が交わせなかった」ということで、労働条件を記載した書面を相手に渡せない状態が続くということは、少なくとも避けるべきです。
 


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