2024年改正の労働条件明示事項(記載例)

2024年4月から、労働条件明示のルールが変更となりました。以下、具体的な記載例を中心に、解説してまいります。

就業場所を雇入れ直後とその後の変更の範囲とに分けて記載

従来、雇用契約締結時の就業場所のみ記載すればよかったのが、その後の変更の範囲まで記載しなければならないこととなりました。
以下、記載例をお示しいたします。

 

【全ての転勤を可能とする場合】
●(雇入れ直後)東京本社
 (変更の範囲)本社及び全ての支社・営業所(海外拠点を含む)

●(雇入れ直後)横浜支店
 (変更の範囲)会社の定める全ての拠点

●(雇入れ直後)川崎営業所、本人の自宅や会社の認めるテレワーク拠点
 (変更の範囲)全国転勤の可能性あり(会社の認めるテレワーク拠点を含む)

【転勤の範囲を一部に限定する場合】

●(雇入れ直後)東京本社
 
(変更の範囲)東京・神奈川・千葉・埼玉にある会社拠点

●(雇入れ直後)横浜支店
 (変更の範囲)神奈川県内で会社が定める拠点

●(雇入れ直後)川崎営業所、本人の自宅や会社の認めるテレワーク拠点
 (変更の範囲)川崎市内の営業所・出張所(会社の認めるテレワーク拠点を含む)


【転勤を想定しない場合】
●(雇入れ直後)東京本社
 
(変更の範囲)変更無し

●(雇入れ直後)横浜支店
 (変更の範囲)転勤の可能性なし

●(雇入れ直後)川崎営業所、本人の自宅や会社の認めるテレワーク拠点
 (変更の範囲)雇入れ直後と同じ

業務内容を雇入れ直後とその後の変更の範囲とに分けて記載

従来、雇用契約締結時の業務内容のみ記載すればよかったのが、その後の変更の範囲まで記載しなければならないこととなりました。
以下、記載例をお示しいたします。

 

【全ての職種に配置転換を可能とする場合】
●(雇入れ直後)システム開発・保守及びコンサルティング
 (変更の範囲)会社が指示する全ての業務

●(雇入れ直後)営業及び企画開発に関する業務、その他関連業務
 (変更の範囲)会社内の全ての業務(新規事業も含む)

●(雇入れ直後)総務事務、庶務、その他これに付随する業務
 (変更の範囲)全ての業務に配置転換する可能性がある

【業務内容を一部に限定する場合】

●(雇入れ直後)システム開発・保守及びコンサルティング
 
(変更の範囲)雇入れ直後のものに加え、その部門の管理業務

●(雇入れ直後)営業及び企画開発に関する業務、その他関連業務
 (変更の範囲)営業・企画開発・商品開発、その他管理職の業務

●(雇入れ直後)総務事務、庶務、その他これに付随する業務
 (変更の範囲)人事総務事務、経理事務、庶務、営業事務その他関連業務


【配置転換を想定しない場合】
●(雇入れ直後)システム開発・保守及びコンサルティング
 (変更の範囲)システム開発・保守及びコンサルティング

●(雇入れ直後)営業及び企画開発に関する業務、その他関連業務
 (変更の範囲)変更の可能性なし

●(雇入れ直後)総務事務、庶務、その他これに付随する業務
 (変更の範囲)雇入れ直後と同じ

有期契約の場合、更新上限の有無と内容をを予め明示する

期間の定めのある労働契約の場合で、その更新に関し回数や期間等に上限を設けている場合は、最初の契約の段階から、その上限を明示しなければならなくなりました。また、今後その更新上限を新たに設定したり、期間を短縮したりする場合は、その新設や短縮の前のタイミングで予め理由を説明しなければならなくなりました。

なぜこのような変更が行われたのかというと、そこには労働契約法に基づく無期転換ルールの存在があるからです。有期契約労働者は、通算雇用契約期間が5年を超える契約に入ると、その後いつでも会社に申し出れば、無期雇用に転換できる(会社に拒否権は無し)というルールが、労働契約法に存在します。これを逆手に取れば、「当社は有期雇用労働者について5年を超えて契約更新しない」「1年契約だが更新は4回までとする」などの上限を設け、無期転換の申し出を有期契約労働者にさせないように考えるところも出てきます。

それ自体がダメだとは言っていないのですが、有期契約労働者がその上限の存在を知らなかったり、当初の契約時には上限が無かったのが、途中から上記理由で会社が上限を勝手に設定したりするなどの行為が散見されたことによって、それならば初回の契約の段階で、上限の存在を予め明示させておくようにしようと国が考えたことが主因と言われています。
以下、記載例
をご紹介いたします。

【更新上限を設けない場合】
●更新上限の有無 → 無し
※上限が無い場合は、あえて上限無しと記載しなくても構いません
 

【更新上限を設ける場合】
●更新上限の有無 → 有り
 内容例1:通算契約期間を5年以内とする
 内容例2:契約更新は3回までを上限とする
 内容例3:60歳誕生日の属する賃金計算期間の末日までとする

有期契約の場合、無期転換申込ができることを予め明示する

有期契約の更新を繰り返し、通算雇用期間が5年を超える契約に入った場合、その契約以降は毎回、「あなたはいつでも無期契約への変更(=無期転換)を会社に申し出ることができますよ」と、労働条件通知書(雇用契約書)の中に記載をしなければならなくなりました。これは、本人が無期契約への変更の申出をせず、6年目、7年目と有期雇用契約となった場合でも、その6年目、7年目の契約時にも必ず同じように明示しなければなりません。一度明示したから、その後は明示しなくて良いというわけではないので、注意が必要です。

また、無期契約となった場合の労働条件(労働時間や賃金制度など)についても、有期契約時の労働条件から変更が有るのか無いのかを明示し、有る場合はその内容まで、予め、かつ、契約の都度伝えなければならない
ので、こちらも注意を要します。
以下、記載例をご紹介いたします。

無期転換後も労働条件が変わらない場合
●本契約期間中に会社に対して無期労働契約への転換を申し出た場合は、本契約期間満了日の翌日から無期雇用に転換することができる。ただし、無期雇用に転換した場合でも、労働条件は変わらないものとする。


【無期転換後、労働条件が変更になる場合】
●本契約期間中に会社に対して無期労働契約への転換を申し出た場合は、本契約期間満了日の翌日から無期雇用に転換することができる。無期雇用に転換した場合の労働条件は別紙の通りとする。
 ※「別紙」に変更後の条件を記載し、添付する必要があります

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