雇用契約書(労働条件通知書)が無い場合のリスク

雇用契約書(労働条件通知書)を作成していなかったり、内容に不備があったりした場合、どのようなリスクが想定されるでしょうか。

労働基準監督署から是正勧告が出る

労働基準監督署の調査にあたった場合、必ず既存の従業員の労働条件通知書のコピーの提示を求められます。もし労働条件通知書を作成していなかったとしたら、それだけで是正勧告が出てしまいます。雇用契約書(労働契約書)を作成していた場合は、タイトルが労働条件通知書でなくても特に問題はありません。

労働条件通知書(雇用契約書)を作成していた場合でも、内容に不備があったらどうなるでしょうか。この場合も、残念ながら是正勧告の対象となってしまいます。

労働基準法は、違反に対して罰則規定のある法令です。是正勧告が出たからといって直ちに罰則が科されることは考えづらいですが、罰則が科されないなら良いわけではありません。

既存の従業員で過去に労働条件通知書を交付していない人がいる場合は、今からでも遅くないので、作成して交付しておくことをお勧めします。

労使トラブルが発生したときに、かなり不利になる

会社と労働者との間のトラブルは、残業代をはじめとする賃金未払い、解雇、雇止め、ハラスメントなど、いつどんな形で発生するか分からないもので、どんなに小規模の会社でも発生リスクがあります。労使トラブルが顕在化するケースで多いのは、労働者が弁護士に頼んで、賃金未払いや解雇などのことで会社に対して内容証明郵便を送ってきたり、労働審判を起こしたりするケースです。いきなり訴訟というのもあり得ます。

その際、真っ先に提示を求められるのが、労働条件通知書(雇用契約書)であると言っても良いでしょう。そのときに「作成していませんでした」となったら、たちまちその交渉では会社が不利な立場になってしまいます。

労働条件通知書(雇用契約書)を作成していた場合でも、相手側弁護士はプロですから、内容に不備がないかどうかをチェックし、あればその点をとことん追求してきます。10人以上の労働者がいる会社で作成・届出義務のある就業規則と合わせて、記載ミス・記載漏れを指摘してきますし、たとえ書き間違いや修正忘れなどを会社が主張しても通じないことが多いという、厳しい世界です。

それだけ重要な書類であるということを意識して、労働条件通知書(雇用契約書)の作成・整備に取り組みましょう。

労働者に不信感を抱かせる

最近の労働者はネット情報でたいていのことは知っているので、まずもって労働条件通知書すら作成しない会社に対し、「この会社は本当に大丈夫か?」と不信感を抱かせてしまうことにつながります。

また、渡された労働条件通知書や雇用契約書の内容についても、実際の労働時間体系や給与の内容と異なる記載があれば、「実態と書いてあることが違う」とか「当初聞いていた労働条件と内容が違う」ということも簡単に指摘してきます。

採用活動をしてもなかなか応募が来なかったり、来たとしても会社の期待する人材ではなかったりと、労働市場は厳しい状況にある中、せっかく雇入れた労働者にこうした不信感を抱かせてしまっては、退職者の増加や社内モラルの低下にもつながるなど、会社運営に大きな影響を及ぼします。

最近は、ネット上の口コミサイトにも、「労務管理がずさんな会社」ということが簡単に書かれてしまう時代で、そういう情報も意外と就職活動中に事前に見ている人が多いです。そうなると、更に採用活動に支障をきたすことになります。

そんな中で、雇い入れ時に初めて渡される労働条件通知書(雇用契約書)が、すごくしっかりしたものだったらどうでしょうか?少なくとも「この会社はきちんとしているな」と思ってもらえ、心象アップがモチベーションにもつながる相乗効果が期待できます。そして何よりも、「しっかりした労働条件通知書を作成して渡している」という自社に、自信が持てるようになるはずです。

助成金に影響も

雇用関係の助成金制度は様々なものがあります。その助成金をいざ受給したいとなったときには、雇用している労働者に関する書類として、たいていの場合、労働条件通知書(雇用契約書)の控えの提出が求められます。

労働条件通知書が無いとなれば、労働基準法に違反している会社には助成金が出ないことになっていますから、不支給という結果につながります。助成金のために労働条件通知書を作成するというのは本末転倒ですが、そういう事態に陥りたくない場合は、今からでも作成するようにしましょう。

助成金制度の内容によってですが、労働条件通知書の記載内容がその支給可否の判断につながることもあります。ただ単に労働条件通知書があればよいということではないので、内容の精査もしっかり行っておきたいところです。

いかがでしたでしょうか。労働条件通知書(雇用契約書)の未作成や不備は、かなり多くのことに波及してくることを感じていただけたかと思います。


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